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学会・講演会・セミナー情報

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遺伝子病制御研究所セミナー

2019/05/30

このたび、小野昌弘先生(Imperial College London上席主任研究員)にセミナーを開催していただくことになりました。小野先生は、数理モデルを生物実験に併用した異分野融合研究によって、FoxP3が制御する標的遺伝子間の相互作用や、喘息などの各種疾患における制御性T細胞の役割を解明するなど、近年目覚しい成果を挙げておられます。

下記のとおり開催いたしますので、是非ご参加いただけますと幸いです。

【日時】:2019年6月3日(月)16:00~
【場所】:医学部 北棟5階セミナー室
【所属】:Department of Life Sciences, Imperial College London
【演者】:小野 昌弘
【演題】:Investigating time-dependent dynamics of T cell regulation by the ‘Tocky’ timer system

【要旨】:

T細胞の活性は、抗原提示細胞上の抗原をT細胞受容体(T cell receptor, TCR)で認識することで誘導される。特に、活性化した抗原提示細胞から抗原を提示されると、T細胞にはTCRシグナルとともにCD28から共刺激分子シグナルが伝達され、この両者がT細胞の活性化・増殖・分化を引き起こす。こうして活性化したT細胞はインターロイキン2(IL-2)を産生・分泌しIL-2受容体α鎖(CD25)を発現して自らIL-2シグナルを受容して、自らの増殖・分化を促進する。一方で、T細胞の活性にあたっては、こうした正の制御機構が働き始めると同時に、負の制御機構CTLA-4, PD-1といった共抑制受容体の発現も誘導され、負の制御機構も始動する。

さらに、自己抗原に強く反応するT細胞の一部は転写因子Foxp3を発現し、免疫抑制活性をもつ制御性T細胞(regulatory T cells, Treg)としてはたらく。このようにT細胞の活性化とその後の分化は、CTLA-4, PD-1, Foxp3といった分子を含んだ 正と負の制御機構が動的にはたらくことで作り出されているはずである。しかし、生体内におけるT細胞活性化・分化の時間動態はほとんど不明であり、それゆえに、これらの制御機構の生理的・病的意義もまた曖昧なままである。

以上の背景を踏まえ、我々の研究室では、T細胞反応と分化における遺伝子・細胞・システムレベルでの理解を目指し、特に多次元解析と時間ドメイン解析による免疫制御の理解を深める研究を行っている。

本講演では、まず、1細胞トランスクリプトームの新しい多次元解析と擬時間解析解析により明らかになった生体内におけるT細胞活性の動的な制御機構について提示する。次に、時間ドメインの実験的測定技術Timer of Cellular Kinetics and Activity; Tocky(日本語の「とき」)を紹介する。 これらの技術により明らかになった生体内でのがん・免疫疾患など免疫反応中のT細胞活性・制御の動的なメカニズムについて提示し、今後の展望について論じる。


詳細情報(PDF)

【本件担当】:
北海道大学遺伝子病制御研究所 がん制御学分野 教授 園下将大
TEL:011-706-5148
MAIL: msonoshita@igm.hokudai.ac.jp