北海道大学大学院医理工学院長
橋本孝之
医理工学とは、生命現象の解明、疾病の克服、人類の健康の増進に向けて、理工学の知識や技術を医学に活用する学問分野です。北海道大学大学院医理工学院は、このような医理工学を学び、実践できる人材を育成することを目的に、平成29年4月1日に設立されました。本学院では、1)放射線治療・粒子線治療とそれに関連する医療機器に係る専門的知識と技能を医学に応用できる人材を育成する量子医理工学コースと、2)生体内の分子挙動の解析・画像診断に係る専門的知識と技能を医学に応用できる人材を育成する分子医理工学コースを設けて教育を行っています。
医療の進歩は、医学だけでなく理工学をはじめとする多様な研究の成果、科学技術の発展が結びついて初めて実現できるものです。本学院の特徴の一つは、放射線医学を専門とする医学系教員、核物理学、分子生物学、放射線生物学、薬学などを専門とする理学系教員、放射線診断・治療装置を専門とする工学系教員など、多彩なバックグラウンドを持つ教員が密に協力し合いながら学生教育・研究に取り組む体制を構築していることです。また医学研究院医理工学グローバルセンター(GCB)と連携し、交流の深い欧米やアジアを中心とした各国のトップレベルの施設との画像診断学、放射線治療学と医療AI技術を融合した最先端医理工学の国際共同研究や、新しい医療技術・機器の開発研究などを通じて、他の医療者や産業界と協働しながら国際的に活躍する人材の育成を目指しています。
令和7年4月からは新体制での運営が開始されました。本学院発の世界をリードする、既存の枠にとらわれない分野横断的研究の成果が社会・医療の課題解決に貢献するという"Excellence and Extension"の実践が、いつの日か世界中で多くの人々に幸福をもたらすことを切に願っております。
引き続き、皆様のご支援、ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
(令和7年4月)