北海道大学医学部は、1919年に北海道帝国大学医学部として設置されました。2019年に創立百周年を迎えた我が国屈指の歴史と伝統を誇る医学部です。これまで約1万名の卒業生を輩出し、現在、約6,500名の同窓生が、日本全国そして世界各地で医師・医学研究者等として活躍しています。
医学部医学科における教育では、5,6年次における臨床実習の充実化を図るため、2017年から全道の約50病院の協力を得て、診療参加型臨床実習をスタートさせました。また、医学教育改革を推進するため、学生も参画する「カリキュラム委員会」を創設し、学生と教員が一体となった双方向の教育システム改革を進めています。2022年10月には日本医学教育評価機構による医学教育分野別評価を受審し、医学教育国際基準に適合しているとの認定を受けました。国際的見地から本学医学部医学科の教育の質を外部機関から認定されることは、本学学生の海外派遣事業のさらなる推進や卒業後の海外での医療活動の推進に重要です。
大学院は1955年に北海道大学大学院医学研究科が設置されました。北海道大学は2017年に、この教育組織と研究組織が一体化していた「研究科」の体制を廃止し、大学院生が所属する「学院」そして教員が所属する「研究院」の2つの独立した組織体を構築しました。これは、変化する社会情勢や学生の指向に対して有機的に対応できるグローバルな大学院教育システムです。
医学院での大学院教育では、医学研究院や学内の他の研究院所属の教員が一丸となって世界最先端研究を実践することができます。医学院の大学院生に対し良質な教育環境を提供し、「医学院としての大学院生」と「医学研究院としての教員」の双方の発展が期待できます。大学において、医学研究院での最先端研究の遂行は教育の提供に不可欠なもので、医学院の理念にもある「世界をリードする先進的医学研究を推進し、高い倫理観と豊かな人間性を有する医学研究者・医療人を育てることにより、人類の健康と福祉に貢献する」に資するものです。最先端の研究を進める医学研究院所属の教員のもとで医学院大学院生が教育を受けることで、医学院の教育目標である「医学・生命科学に関する高度な知識と研究能力を備え、社会の要請に応える高い見識を備えた人材を育成する」ことが期待できます。
大学を取り巻く社会環境の激変のなか、教育・研究・診療の将来展望を見据え、医学研究院・医学院のさらなる発展を目指します。医学研究院は北大が目指す知を深めるエクセレンス、社会と連携するエクステンションの実践に貢献していきます。
2025年4月1日
北海道大学大学院医学研究院長
田中 伸哉