
白土 博樹教授に日本学士院賞が授賞されることが、令和4年(2022年)3月14日に行われた日本学士院総会において決定されました。
日本学士院賞は、明治43年(1910年)に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他研究業績に対して授賞される、我が国で最も権威のある賞です。
医学研究院・医学部としては、昭和9年(1934年)に第24回帝国学士院賞を授賞した今 裕(こん ゆたか)元医学部長・元北海道帝国大学総長以来、2人目の授賞となります。
研究題目
がんの動体追跡放射線治療・粒子線治療に関する医理工学研究
授賞理由
がん(注1)の放射線治療(注2)では、周囲の正常細胞に当たる放射線の量と範囲を減らし、がんにだけ放射線を集中することが重要です。「体内で呼吸や腸動などで動いている臓器に発生したがんにどのように正確に放射線を集中するか?」に関して、全世界が良い解決策を見つけられずにいました。白土博樹氏は、がん近傍に留置した金マーカをパターン認識技術(注3)にて0.033秒毎に自動認識し、計画した3次元位置から±1-2mmにがんが位置している間だけ治療用X線の同期照射(注4)を行う動体追跡放射線治療を産学連携で開発しました。小型の肺・肝がんなどで手術に匹敵する成績を挙げつつ、「腫瘍の動き」に関する重要な発見により、時空間精度を飛躍的に高めた4次元放射線治療の領域を開拓しました。さらに、大型のがんへの放射線集中性に優れる動体追跡粒子線治療(注5)を開発し、これを保険診療(注6)に繋げ、装置・技術を世界に普及させるとともに、人材育成にも努めています。
引用
日本学士院「日本学士院賞授賞の決定について」
https://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2022/031401.html、(参照2022-03-14)



赤い部分に金マーカのある時のみ、同期して治療用X線が照射されている
