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vol.08 消化器外科学分野Ⅱ

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北海道大学大学院医学院の教員・教室を紹介します
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北海道大学大学院医学研究科 外科学講座 消化器外科学分野Ⅱ

教授平野 聡外科系

  • 1988年、北海道大学医学部医学科卒業、同外科学第二講座に入局
  • 2000年、同医学部附属病院第二外科助手
  • 2003年、同講師
  • 2005年、英国セント・ジェームス大学病院(リーズ)肝胆膵・移植外科にて研究に従事。同年北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科学分野助教授
  • 2007年、同准教授
  • 2011年11月より同外科学講座 消化器外科学分野Ⅱ教授に就任

外科医が中核となったオール北海道での臨床試験を実施
研究成果を世界に向けて発信しています

1924年(大正13)に外科学第二講座として開講し、90年以上の歴史を持つ消化器外科学講座Ⅱ。2011年に7代目となる平野聡教授が就任し、難治性悪性腫瘍の集学的治療戦略の構築をはじめ、内視鏡手術による低侵襲根治手術の開発、低悪性度病変に対する膵縮小手術の開発などに取り組み、長期的視野に立った医学部卒業後12年一貫の全人的教育システムを導入するなど外科教育にも力を注いでいます。

消化器外科学分野Ⅱでは、上部消化管・胆道・膵臓の悪性疾患を主な診療・研究の対象とし、「胆膵(胆道・膵臓)」、「消化管(食道・胃)」、「実験」の3グループ体制で臨床、研究、教育を行っています。胆道・膵臓などの難治がんは、術前後の管理や高度侵襲手術が必要なため、高難度医療を安全に行うチームづくりや技術の確立が大きなテーマです。

がん治療では外科療法、化学療法、放射線療法など複数の治療法を組み合わせて実施する集学的治療法が一つのムーブメントになっています。平野教授は、近年の化学療法や放射線療法の進歩を踏まえ、道内の医育大学(北海道大学医学部、札幌医科大学、旭川医科大学)と道内基幹病院が結集した「オール北海道」の研究グループを立ち上げ、施設や診療科の垣根を排除した膵臓がんの集学的治療の臨床試験・共同研究を進めています。

集学的治療法
▲ 難治性高度進行癌の治療においては手術治療だけでは効果が不十分であり、化学療法や放射線治療と組み合わせた「集学的治療法」の開発が必要。その「治療法」の有用性を確かめるのが臨床研究

「550万人規模の人口を抱える北海道には3つの医育大学があり、道内の主要な病院のほとんどが大学と連携しながら均一で高いレベルの医療を展開しています。集学的治療は内科医、外科医、放射線医などが参加しやすいため『オール北海道』での臨床試験ができると考えました。現在、目標症例の半分程度が収集されており、2016年頃をめどに研究成果をまとめる予定です。北海道オリジナルの研究成果を世界に向けて発信することは、北海道で医療に関わる人々にとって大きな励みとなり、患者さんが享受し得る恩恵も大きいものと確信しています」

常に新しいことを始められる自由な気風が伝統
医療の発展の一端を担う使命感を持って取り組んでいます

消化器外科学分野Ⅱでは、医学部卒業後5年目の医師を対象に大学院への進学を推奨しています。大学院では、基礎研究と臨床研究の2つの領域から自分でテーマを決め、教室内のラボを活用しながら研究に従事します。

「若い医師たちは、臨床の現場で多くの壁にぶつかります。外科学の進歩には目覚ましいものがありますが、それでも『まだまだ』と感じる部分が多く、もう一歩前へ進みたい、あるいは別の角度から検討してみたいという思いを抱えているのです。卒後5年経ち、自分にできることとできないことが見えてきた頃、いったん臨床を離れ研究に従事することは非常に意義のあることです。後期臨床研修を終えた医師のほとんどが当校の大学院へ進学しています」

研究テーマは基礎研究、臨床、病理と多岐にわたりますが、いずれも医学の進歩の一端を担うという志を持ち意欲的に取り組んでいます。特に博士課程の2〜3年目は研究に集中できる期間であり、この間に非常に多くの学びと経験を得ます。

「大学院では、①臨床医としての自分を高めること、②患者さんのためになるような医学の進歩に貢献することの2点を重視しています。大学院生は全員臨床医として現場に戻りますが、どのような現場にあっても研究マインドを持つことは重要です。自分で資料を集め、実験データを取り、解析・検証し、論文にまとめ学位を取得する。小さな疑問や問題意識から発したテーマでも、患者を助けるために役立つかも知れないという思いで取り組むことは、医師としての大きな成長につながります。研究活動を通じて、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると言えるような力を身につけてほしいですね」

また、「外科医はチームで勝負するのが基本」という考えから、さまざまな才能と個性を持った人材を集めたチームづくりに力を注いでいます。人間には秀でている部分もあれば、苦手とする部分もあります。お互いに強い部分を伸ばし、弱い部分を補い合うことで総合力のあるチームをつくることができると平野教授は考えています。

「当教室は、年代を問わず教室員が常に新しい考えで新しいことを始められる自由な気風が伝統であり、医学部以外・他大学からの研究者も幅広く受け入れ、現在、工学系大学の修士課程に在籍している学生とも共同研究を行っています。学問領域や経験は異なっていても応用の利くことはたくさんあり、新しい可能性が数多く生まれています。大学院でともに学んだ仲間たちは生涯を通じて強い信頼関係で結ばれ、同門のネットワークは国内外へ広がっています」

(取材:2014年12月)

学生や研修医向けの外科手技基本セミナー  研修説明会や懇親会も開催しています

外科学に興味のある学生や研修医を対象に外科基本手技セミナーを行っています。ボックストレーナーやバーチャルリアリティシミュレーターを使い、腹腔鏡下胆嚢摘出、腸管吻合、皮膚縫合などを先輩たちの指導を受けながら実際に体験します。楽しく学んだあとは消化器外科学Ⅱの研修説明会や懇親会なども開いています。