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Vol.28 呼吸器内科学教室

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北海道大学大学院医学院の教員・教室を紹介します
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北海道大学大学院医学院 内科学講座 呼吸器内科学教室

教授今野 哲内科系

  • 1995年、旭川医科大学卒業
  • 2001年、医学博士取得
  • 2002年、米国Johns Hopkins大学喘息アレルギーセンター留学
  • 2005年、北海道大学病院 内科I(第一内科) 助教
  • 2011年、北海道大学病院 内科I(第一内科) 講師
  • 2016年、北海道大学呼吸器内科学分野 准教授
  • 2019年、北海道大学呼吸器内科学教室 教授

専門領域の細分化が進む現代も総括的な研究は欠かせません

▲ 「患者さんの呼吸器以外の症状も気にかけて」と話す今野教授

呼吸時の空気の通り道である鼻腔、咽頭、喉頭にあたる上気道と、気管、気管支、肺胞に至る下気道からなる呼吸器の疾患の診療、研究を行う呼吸器内科学教室(診療科名は内科Ⅰ。旧第一内科)は、北海道帝国大学に医学部附属医院(現在の北海道大学病院)が設置された1921年(大正10年)の創設以来100年の歴史を紡いできました。2019年には6代目となる今野哲教授が就任し、歴代教授の方針を継ぎ「全身を診ることができる内科医の育成」に心血を注いでいます。

今野教授は「呼吸器にとらわれず患者さんのさまざまな症状を気にかけて、解決できるところは解決し、できないところは専門家へ託す。全身を診るとは、その見極めのタイミングを計ることだと思います。そうした能力を持つ内科医が、医師不足の北海道では重宝されるのではないでしょうか」と話します。

呼吸器病学全般を専門とし、自らを”何でも屋”と称する今野教授には「どのようなことも幅広く研究したいという思いが常にあります。専門領域の細分化が進む現代は、他方で総括的な研究も欠かせません。私たちは呼吸器に特化せず、呼吸器と循環器や呼吸器疾患と肥満など、他領域との接点も重視しています。現在、肥満が呼吸器疾患を悪化させる仕組みなどの研究を進めていますが、当科の長所は、こうした世界でもあまり行われていない“つながり”の部分に着目することで発揮できます」。

さらには「当科は長い歴史の中で、糖尿病、循環器、消化器などあらゆる専門領域の内科医を輩出しており、そうした同門の先生方と呼吸器疾患をあらゆる方面から検討できる恵まれた環境にあります」と語ります。

▲ 特別な技能を持つスタッフが教室の自慢

研修医時代「ぜんそくやアレルギー疾患の患者さんを受け持つ機会が多かったことから、それらの発症に関わる遺伝子を見つける研究に関心を持った」という今野教授は、気管支ぜんそく(特に難治性ぜんそく)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態解明をはじめ、本邦全体や北海道大学新入生を対象としたアレルギー疾患の疫学研究、体内の多くの器官に肉芽腫ができる指定難病「サルコイドーシス」の疫学研究を手がけるなど、多角的視点に立ち、いまだ不明点の多い呼吸器疾患の病態を探ってきました。

目下の自慢は、特別な技能を有するスタッフといい「心臓から肺につながる動脈の血圧が高くなる肺高血圧症は、呼吸器と循環器の両方の専門医が診る必要がありますが、双方の役割を一人でこなす辻野一三教授(呼吸・循環イノベーティブリサーチ分野特任教授)と、肺がんの診断に使用する特殊なカメラの開発や操作技術で日本をリードする品川尚文教授(北大病院 呼吸器先端医療機器開発研究部門特任教授)は得がたい存在です。ぜんそく、COPD、肺線維症に関する臨床・基礎研究は、幅広く指導できる鈴木雅講師と清水薫子助教の存在があってなし得ており、肺がんの新薬の臨床試験は朝比奈肇助教がリーダー的存在です。マウスを使った肺がん創薬の実験を担う菊地英毅講師と榊原純講師の二人の存在も欠かせません。感染症領域では、中久保助教を中心とした体制も構築されています。このように有能な数多くのスタッフに恵まれ、基礎研究、臨床研究いずれも自前で賄えるところも自慢の一つです」。

COVID-19収束後は世界的研究者との交流で若手に刺激を

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界を席巻している2020年は「学内でもCOVID-19に関する共同研究が活発化しています」と今野教授。

「北大病院ではCOVID-19の患者さんの全診療を当科が担っており、唾液を用いたPCR検査法を推進する研究(検査部長:血液内科 豊嶋崇徳教授主導)、うがいによる唾液中のウイルス量減少効果に関する研究(歯学研究院との共同研究)にも関わっています。当科及び複数の関連病院の経験症例を集計し、英語論文の発表を続けるほか、獣医学研究院、北大病院検査部との共同研究で、検体の保管状況が検査結果(PCR、抗原、ウイルス培養)に与える影響も検討しています」

COVID-19研究には、若手医師も関心を持ち「大学院に進学して遺伝子病制御研究所の村上正晃教授(分子神経免疫学教室)の指導で、モデルマウスを用いたCOVID-19の重症化因子に関する基礎実験も展開する予定です」。

取材の日、呼吸器内科学教室の実験室では、肺がんグループの辻康介医師(大学院2年)が、肺がんの治療薬の組み合わせによる効き目の違いやがん細胞のタイプごとの治療の効果を検証する研究を行っていました。今野教授曰く「こうした研究を大学院で経験することで、新しいデータを読む力やものの考え方が養われます。臨床医としてスキルアップできるのは間違いありません」。

▲ ウエスタンブロット法で肺がんのがん細胞に含まれる特定のタンパク質の発現量を調べる辻康介医師。「研修医時代から患者さんを全体的に診る必要性を感じてきました」

「当科の取り組みを海外に発信することが目標」という今野教授は、難治性ぜんそくの世界的権威であるピッツバーグ大学のサリー・ウェンツェル教授やアリゾナ大学のモニカ・クラフト教授とも親交を重ね、両氏の元へ若手医師を託してきました。「国際学会で出会い、教室主宰のリサーチ・カンファレンスにお誘いしたのがきっかけで『いい研究者いませんか』などと声を掛けていただくようになりました。当科では年に3回程度、呼吸器疾患全領域において世界的権威である多くの先生をお招きして、講演会の前に大学院生のリサーチ・カンファレンスに参加いただいております。COVID-19収束後は、こうした世界的研究者とのリアルなディスカッションの場を復活させ、若手を刺激し留学を後押ししたい」と思いを新たにします。

(取材:2020年10月)

全身を診る内科医を養成するセミナー

▲ 全身を診る内科医を養成するセミナーの様子(2020年10月 TKP札幌駅カンファレンスセンターにて開催)

研修医や学部生を対象に、毎年秋に糖尿病や循環器などあらゆる領域の同門の先生を全道各地からお招きし、各専門領域に関するトピックを話していただく内科医実力養成セミナーが教室の一大イベントです。また夏には札幌医科大学と合同で呼吸器研修医セミナーを催し、大学間の垣根なく、多くの研修医が気管支鏡(肺のカメラ)の動作や検査法、吸入薬の使用法などを学んでいます。「札幌医科大学、旭川医科大学の呼吸器内科学教室と仲がいいことも自慢です。北海道の医療を充足し、地域医療のバランスを均等に保つためにも協力関係を大事にしています」