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vol.11 血液内科学分野

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北海道大学大学院医学院の教員・教室を紹介します
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北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 血液内科学分野

教授豊嶋 崇徳内科系

  • 1986年、九州大学医学部卒業
  • 1993年、北九州市立医療センター
  • 1996年、岡山大学第二内科 助手
  • 1997年、米国ハーバード大学 ダナ・ファーバー癌研究所
  • 1999年、米国ミシガン大学がんセンター研究員
  • 2000年、米国ミシガン大学内科ファカルティー
  • 2002年、岡山大学病院血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科助手
  • 2004年、九州大学病院遺伝子・細胞療法部 准教授
  • 2012年より北海道大学大学院医学研究科血液内科教授に就任

基礎と臨床が一体化し、
地域と世界を結ぶ医療を目指しています

血液内科学分野は、従来のナンバー内科制から臓器別診療科への集約・再編にともない、2012年に今村雅寛教授のもと新生・血液内科としてスタート。同年8月に豊嶋崇徳教授が第2代教授として就任しました。臨床では白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液疾患全般をカバー。中でも造血幹細胞移植は年間40~50症例を扱っています。
研究では造血器悪性腫瘍の分子病態・診断・治療に関する研究や、造血幹細胞移植の高度化に関する研究などを推進。日本の血液内科研究をリードするトップランナーです。

「現在の日本のがん治療には、世界の最先端で標準とされている治療が、国内で厚生労働省に承認され医療現場で使用できるまでの時間差のために受けられない『ドラッグラグ』の問題があります。私が本分野の教授に就任したとき、このドラッグラグをできるだけ解消したいという目標を掲げました」

移植後シクロホファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植の安全性と有効性の検討
▲ BMT Tandem Meetings(米国骨髄移植学会)

教室では、最新の治療方法をいち早く取り入れ、血液がん患者に届けたいという思いから日々研究に取り組んでいます。その研究には二つの方向性があり、一つは自ら新しい治療法を開発すること、もう一つは世界と一体となって臨床研究を進め、世界レベルの研究成果を日本に導入することです。

「新しい治療法の開発では、白血病の最終治療である骨髄移植の新しい移植方法の開発に取り組んでいます。
骨髄移植にはHLA型が一致するドナーからの移植が必要ですが、少子化が進むことにより移植ドナー不足が懸念されています。そこで型にこだわらず移植ができる新しい移植法の開発を進めています(脚注1)

一方、世界と一体となった臨床研究では、欧米のグループとの連携した共同研究、グローバルな治験などに数多く参加しています。海外と連携することで世界最先端の研究に深く関わり、国内のドラッグラグの解消に貢献することができます。

2012年には北大病院血液内科とその関連病院を中心に「北日本血液研究会」を発足。全道で約500床の血液内科病床を確保すると同時に臨床・研究両面での協力体制を構築。臨床研究や基礎研究を通じて血液病患者のためのエビデンスを創出するとともに、グローバルな臨床成果を積極的に反映し、世界の最先端の治療法を北海道全体に広める医療を実践しています。

「臨床の現場で実際に患者さんに接することで医師としてのモチベーションを高め、それを基礎研究や臨床研究に注ぎ込む。そしてその成果を地域の臨床現場に還元するという、まさに基礎と臨床が一体化し、地域と世界が一体化した巨大な医療のあり方を実践しています」

その他にも血液内科学分野の研究テーマは多岐にわたり、アメリカの骨髄移植学会の最高論文賞を2年連続で受賞するなど、ここ数年の実績の伸びには目覚ましいものがあります。

世界に直結する研究・教育環境で
深みのある臨床医へ成長することができます

「深みのある臨床医となるために、しっかりとした研究をしてほしい」と語る豊嶋教授。その研究・教育環境は、豊嶋教授のグローバルな活動を通して世界へ広がっています。

「本教室には世界各国から血液内科を学ぶ学生が多数来訪します。そういう学生たちと接することでお互い切磋琢磨し、世界を意識するきっかけになります。さらに欧米の内科学の教授を招聘し、直接教わる機会を設けています。たとえ小さなスペースでも、そこでの学びはダイレクトに世界につながっている。日常的に世界に触れることができるというのは素晴らしい環境だと思います」

また、北大病院は、厚生労働省の造血幹細胞移植推進拠点病院として北海道で初めて認定(全国では9施設)されました。そのプロジェクトの一環として、血液がん治療に興味をもつ看護・検査分野の学生を対象とした修士課程のプログラムを提供しています。

「看護師、薬剤師、検査技師、患者会に向けたセミナーを多数開催し、情報交換を目指した多角的なネットワークづくりを進めています。患者さんを含めて組織化することは、臨床と研究の連携をさらに強めると考えられ、今後の展開に大きく役立つと期待しています」

(取材:2016年2月)

(脚注1)移植後シクロホスファミドを用いた血縁者間HLA半合致移植の安全性と有効性の検討

世界に開かれている教室

血液内科学分野には、海外から学生や研究生、教授などが多数来訪します。世界の第一線で活躍する研究者のマインドやエッセンスに触れる絶好の機会となっています。これは海外との連携や共同研究に数多く携わってきた豊嶋教授のネットワークを活かしたもので、日常的に世界を意識し、世界トップレベルの研究を目指すモチベーションの源となっています。