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医理工学院長 挨拶

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白土博樹

北海道大学大学院医理工学院長
白土博樹

 医学の進歩のうち、その約半数は医学には全く関係のない理工系の科学技術の発展に因っていると言われています。人体の生理・疾病の病理を解明し、病いに苦しむ人を助けるには、医師だけではなく、理工系の最先端科学技術を医学に活用できる理工系人材が必須です。北海道大学大学院医理工学院は、そのような人材の育成を行うことを目的として、平成29年4月1日に新たに発足した大学院です。

 医理工学は新しい言葉ですが、生命現象の解明、疾病の克服、人類の健康の増進に向けて、理工学の知識や技術を活用して研究する学問です。生命・疾病・人間の健康の本質を科学的に追及し、その研究結果が医療の発展に結びつき、世界の人々が平安な日々を送るために役立つことを目指しています。

 今から2400年前頃、医学の父といわれているヒポクラテスは、医療における倫理観の大切さと患者の客観的観察に重きをおき、それまでの呪術や迷信から脱却したそうです。一方で、その後の各時代において、個々の医師は倫理観を持っていたにもかかわらず、理工学的知識が不足していたために、現在では考えられないような不合理な医療が行われていた例があるのも事実です。ドルトンやアボガドロの原子・分子説からまだ200年、ハイゼンベルグやシュレデインガーらの量子力学からまだ100年、シュレデインガーの「生命とは何か?」からはわずか70年しか経っていません。長い医学の歴史を振り返り、現代の理工学が複雑で難解であることを思うとき、本学院の意義が今度益々大きくなっていくことは疑いようがありません。私は、本学院の学生の中から、高い倫理観をもって、最先端の理工学を用いて医学的命題を追及し、最先端技術の医療への正しい応用を目指す研究者が数多く出現し、彼らが他の医療者や産業界と連携して新しい医療技術や機器を開発し、その結果として、今まで治らなかった疾病が一つでも多く予防され、診断され、治癒することを、夢見ています。ただ、一人の患者さんを治すということは、大変なことです。本学院では、在学中にできるだけ病院内での実習を通じて医療を理解し、実際の医療現場における医理工学の重要性と責任にも気付いて頂きたいと思っております。

 本学院は、広い医理工学の領域の中で、まず、北海道大学が得意とする分野から大学院教育を始めます。ひとつは、量子力学から発展した放射線物理等を医学に生かす量子医理工学コース、もうひとつは、生体の分子挙動に関する理工学を医学に生かす分子医理工学コースです。修士課程では、医療倫理をわきまえ、放射線医療の医学物理業務や機器開発業務で社会貢献できる人材を育成します。博士後期課程では、これらの領域で、指導可能な知識と技術を有し、国際的な研究を行い、国際的リーダーとして推進できる人材を育成します。

 皆さまのご助言、ご支援、ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

(平成29年4月3日)